製造業に勤めていた頃、派遣会社を通じて多くのフィリピン人が工場に入ってきました。驚いたのは、彼らの多くが流暢に日本語を話せることです。ある日、思わず「どうしてそんなにペラペラなんですか?」と尋ねてみました。返ってきた答えは意外なものでした。
「アニメで覚えました!」
正直、耳を疑いました。学校でもなく、特別な教材でもなく、アニメです。どんなふうに学んだのか詳しくは聞きませんでしたが、おそらく日本語音声+字幕で繰り返し視聴し、好きなキャラクターのセリフを真似して口に出す。そんな学び方をしていたのではないかと思います。
アニメが語学習得に向いている理由
アニメやドラマ、映画といった映像作品は、語学学習にぴったりの素材です。なぜなら、以下のような要素が含まれているからです。
- 耳から自然に表現を覚えられる
繰り返し聞くことで、文法よりも「フレーズ」として記憶に残ります。 - 字幕で意味を確認できる
音声と文字を同時に処理することで理解が定着します。 - 感情と結びつく
好きなキャラクターのセリフだからこそ覚えやすく、忘れにくいのです。
まさに「好きだからこそ続けられる」学習法といえるでしょう。
フィリピン人が日本語に強い理由
フィリピンでは英語が公用語として使われています。そのため、外国語に慣れている人が多く、言語を学ぶ適応力が高いのです。さらに、日本のアニメやドラマはフィリピンでも大人気。小さい頃から自然に耳にしていることも、日本語学習にプラスに働いています。
加えて、近年は日本で働くことを目指す若者が増えており、現地の日本語教育機関も充実してきています。「アニメで覚えた」という言葉の裏には、そうした文化的背景や環境もあるのだと感じます。
私たちの語学学習に応用するには
日本人にとって英語は「苦手科目」の代表格ですが、実はやり方次第で大きく変わります。外国人がアニメで日本語を覚えたように、私たちも「好きなもの」を活用すればよいのです。
- 洋画を字幕付きで楽しむ
- 海外ドラマを繰り返し視聴する
- 好きな歌を口ずさみながら意味を調べる
これらは、机に向かって単語帳をめくるよりもずっと楽しく、長続きします。大切なのは「学習」ではなく「楽しむ」姿勢です。
まとめ
工場で出会ったフィリピン人が日本語をペラペラ話せた理由は、「アニメで覚えた」という一言に集約されていました。好きなことに夢中になる力は、時に教科書以上の成果を生みます。
語学を身につけたいなら、まずは自分が心から楽しめるものを入口にする。外国人の日本語習得法から学べる最大のヒントは、このシンプルな真実にあるのではないでしょうか。
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