はじめに
商談や会議、あるいは面接の場で、相手の本音や思考力をどうやって見抜けばよいのか――。
実は、あえて「ヘンテコな質問」や「一見バカに見える質問」を投げかけることで、相手の対応力や頭の柔軟性を観察する方法があります。
この考え方は、ビジネス誌や専門書でも取り上げられており、「なぜ?」と直接問い詰めるよりも、場を動かし、相手の地頭を映し出す手法として注目されています。
背景と意図
- 目的は“試すこと”ではなく“観察すること”
→ 相手の反応から、思考の深さ、ストレス耐性、柔軟な発想を見極めます。 - 「なぜ?」はNGになることも
→ 「なぜそう思うのですか?」と問い詰めると、防御的な態度や言い訳を引き出しやすく、会話が空中戦になってしまいます。 - 有効なのは事実質問+発想を促す質問
→ 「いつ」「どこ」「誰」など事実確認と、「もしも…?」という想定質問を組み合わせると、相手の素地が見えやすくなります。
実際の手法とポイント
- 理不尽・答えにくい質問を投げる
あえて業務に関係のない質問で、相手の発想力やユーモアをチェック。 - 質問の意図を明かさない
何を測っているかは隠し、自然な対応を観察します。 - 事実を確認するシンプルな質問
「いつ?」「どこで?」「誰が?」など、子どもでもできる質問を重ね、共通の土台をつくります。 - 掘り下げ質問で思考の幅を試す
「逆に言えば?」「具体的には?」と聞き、論理性や視点切り替え力を確認します。
実用的な“ヘンテコ質問”例(5選)
- 動物に例えると?
「もし自分を動物に例えるなら何ですか?理由は?」
→ 発想力と自己分析が見える。 - 突然の宇宙人設定
「今ここに宇宙人が来たら、最初に何を説明しますか?」
→ 柔軟性・ユーモア・切り返し力を観察できる。 - 子どもにも説明できる?
「今の説明を、5歳の子どもにわかるように言い換えてください」
→ 複雑なことをシンプルにする力が見える。 - 制約条件つきの問い
「もしスマホが一切使えなくなったら、どうやって仕事を進めますか?」
→ 危機対応力や代替手段の発想を確認できる。 - 逆視点の質問
「逆に、あなたが私の立場ならどんな質問をしますか?」
→ 相手の洞察力と視点切り替え力を試せる。
注意点
- 攻撃や揚げ足取りに見えないようにする
目的は「困らせること」ではなく「観察すること」。 - 雰囲気づくりが大事
相手が萎縮しないよう、場を和らげてから投げると効果的。 - 質問の後は必ずフォローする
ユーモアを評価するなど、相手の答えを肯定的に受け止めましょう。
おまけ:実際にこんな質問をした会社もある
公式にはほとんど公表されていませんが、外資系や大手企業の面接で「ヘンテコ質問」が出た事例が知られています。
- Google
「マンホールの蓋はなぜ丸いのか?」
→ 論理的思考力と発想力を見る質問。 - マイクロソフト
「シアトルの窓ガラスを全部洗うのに何人必要?」
→ フェルミ推定(ざっくりした数量推論力)を試す。 - Apple
「もし冷蔵庫にペンギンが入っていたらどうする?」
→ 柔軟性やユーモア、状況判断を観察。 - 日本の大手メーカー(口コミ情報)
「あなたを家電に例えると?」
→ 自己分析力と発想のセンスをチェック。
こうした質問に正解はありません。大切なのは「どう答えるか」という姿勢や対応力です。
まとめ
- 「なぜ?」と詰めるよりも、あえて“ヘンテコ質問”を使った方が、相手の地頭や対応力が自然に表れる。
- 商談・会議・面接などの場で活用できる、実践的な質問術である。
- 実際に世界の大手企業でも採用された手法であり、場を和ませつつ相手を見極める「賢い質問力」になる。
※参考にした記事:
ダイヤモンドオンライン「バカだと思われる質問をする人が、実は『頭がいい』と言える理由」
『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』(ダイヤモンド社)
おまけのおまけ:別の観点からの会話術
今回は“ヘンテコ質問”で相手の反応を観察する方法を紹介しましたが、会話術にはいろいろなアプローチがあります。
例えば、以前紹介した「飲み屋のお姉さん直伝!『2〜3話題を振る』会話術」では、相手を楽しませながら会話を広げるテクニックを取り上げました。
ビジネスの場では「質問術」、日常の場では「話題術」。両方を使い分ければ、会話の幅がぐんと広がります。
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