■ 友人の話
先日、久しぶりに会った友人が、深刻な顔でこう切り出しました。
「なぁ、うち……そろそろごみ屋敷って言われるかもしれん」
私は冗談だと思って笑いかけましたが、彼の表情は笑っていませんでした。
話を聞いていくと、これは「他人事じゃない」と強く感じました。
■ 奥さんはやる気がある。けれど、体がついてこない
友人の奥さんは、もともと体が弱く、数年前から家事のペースがどんどん落ちていったそうです。
本人も「やらなきゃ」と思っているし、片付けの意欲もある。
でも、昼過ぎにはぐったり。夕方はもうベッドでぐっすり。
「いやー、昼寝レベルじゃない。夜まで起きないこともある」と彼。
実は以前、睡眠時無呼吸症候群の疑いで、病院に泊まりがけで検査を受けたこともあるとか。
結果は「異常なし」。でも、体力がないことに変わりはない。
「医者が言う“問題なし”って、問題あるよな」と、ちょっと毒づいていたのが印象的でした。
■ 片付けは、“心の片付け”でもある
さらに厄介なのが、奥さんが勝手に物を捨てられると怒るということ。
「こっちは良かれと思ってやってんのに、怒鳴られてさぁ…」
「“これは大事な書類!”とか言われても、賞味期限2014年のカップ麺の箱に入ってるやつよ?」
──でも、それを聞いて私は少し考えました。
彼女にとって“物を捨てる”ことは、“過去を失う”ことなのかもしれません。
だから、「片付ける=手放す」ではなく、「片付ける=向き合う」作業になっていたんです。
■ 「片付けなきゃ」は、案外みんな抱えている
この話を聞いて、私は思いました。
片付けられないのは、「ズボラ」だからじゃない。
- 体力の問題
- 精神的な問題
- 過去への執着
- 相手との信頼関係
いろんなものが重なって、「手が出せない場所」ができてしまうんだ、と。
そしてそれは、どの家庭にもあるんじゃないかと感じました。
キッチンの一角、本棚の裏、玄関の靴箱。
「まぁ、そのうち」と言いながら数年放置してるスペース、きっとありますよね。
■ まず“捨てない片付け”から始めてみる
彼にはこんな提案をしました。
- 捨てるんじゃなくて、「分類」だけ一緒にする日を作る
- 「これは要る?要らない?」じゃなくて、「どこに置いたら使いやすい?」に変える
- 体調が良い午前中に10分だけ、「今日はこれだけ」と決めてやる
少しだけでも動くと、家も、心も、ちょっとずつ整っていきます。
無理に“理想の家”を目指さなくても、**「今より少し快適」**が目標でいいんです。
■ 恥ずかしいけど…「プロに頼む」という手もある
そして彼が最後にボソッと言ったのが、これ。
「もうさ、1日5000円でも1万円でも払って誰かに来てもらった方がいいんちゃうか…」
実は今、プロの片付けサービスも増えていて、こんな相場で利用できます。
- 1時間 5,000~8,000円
- 半日〜1日で 1万〜1万5千円程度
- 軽トラックでのごみ回収プラン:3〜4万円前後
- 1DK〜2LDK片付けパック:5万〜15万円程度(必要に応じて)
「恥ずかしい」と感じるかもしれませんが、暮らしを立て直す一歩としての出費なら、むしろ前向きです。
■ 困ったことは、誰にでもある。でも分け合える
この話を書いたのは、読んでくださっているあなたにも、
「なんとなく片付かない」「やらなきゃと思ってるのに動けない」
そんな“心のつかえ”があるかもしれないと思ったからです。
人の困りごとは、実はどこかでつながっています。
困ったままでもいい。でも、誰かと一緒に「考えてみる」だけでも違う。
そんな思いで、この“友人のエピソード”を綴ってみました。
■ まとめ
- 「困った」は、一人だけのものじゃない
- 片付けは、「行動」だけじゃなく「気持ちの整理」でもある
- 恥ずかしくてもいい。誰かに頼っていい
- 小さな一歩でも、進めば景色が変わってくる
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