本文
私たちは、思い込みによって失敗することがよくあります。
仕事でも、日常生活でも。
でも、その「思い込み」がどうやって生まれるのか、考えたことはあるでしょうか?
確証バイアスという脳のクセ
「確証バイアス(かくしょうバイアス)」という言葉をご存じでしょうか?
これは、自分にとって都合のよい情報ばかり集めてしまい、都合の悪い情報は無視してしまう、心理的な傾向を指します。
たとえば——
- 体にいいと信じてる健康法の「メリット」ばかり調べる
- 自分と同じ意見のニュースだけを見て、「やっぱりそうだ」と安心する
- ある人にいい印象を持ってしまうと、悪いところが目に入らなくなる
こういったことが、誰にでもあります。
人間の脳は、実はとても「省エネ」で動いています。
新しい情報をいちいち吟味するのは、エネルギーがいる。
だから、「これは正しいはず」と思ったら、それに合う情報だけを集めて処理しようとする。
これが確証バイアスです。
製造現場でも起きていた、思い込みのミス
私は製造業に40年近く身を置いてきましたが、この「思い込み」のせいでヒヤリとする場面が何度もありました。
たとえば——
●目視で確認して「たぶん大丈夫だろ」と流したら、
後から不良が見つかって回収に。
●前任者がやっていた方法を「これでOKだろう」と真似たら、
実はそのやり方に根拠がなかった。
●「もう何度もやってる作業だから、手順は頭に入ってる」
→でも、その日だけ機械の条件が微妙にズレていた。
今思えば、これらはすべて確証バイアス。
「自分の思い通りであってほしい」という脳のクセに負けて、
本当に「大丈夫かどうか」の裏どりを怠っていたのです。
疑う力を持つことの大切さ
製造業に限らず、どんな仕事でも、
「本当にこれで大丈夫か?」
と一度立ち止まって確認することは、とても大事です。
- 自分の感覚は合ってるか?
- 見落としている情報はないか?
- 「信じたいから信じている」だけじゃないか?
思い込んだら、もうダメ。
そんなことを、私は現場で何度も学びました。
結論:脳のクセを知って、冷静な判断を
確証バイアスは、誰にでもあります。
でも、それを知っているかどうかで、判断の質は大きく変わる。
私たちは「正しい」と思うときほど、慎重になる必要があるのかもしれません。
脳は省エネで動くけれど、
判断は省略しない方がいい。
「ほんとにこれでOKか?」
そう自分に問いかけられる人は、失敗を減らせる。
そう信じています。
コメント