人形に感じる恐怖
私は昔から、人形が苦手です。特に顔のある人形。夜に目が合ったらぞっとします。子どもの頃、テレビで「泣く人形」「血の涙を流す人形」「髪がのびる人形」などを見たことがあり、その印象が強烈に残っています。今になって思えば、あの手の番組は半分やらせだったのでしょう。でも当時の私には本当に怖くて、気味が悪い存在にしか思えませんでした。
初節句と祖母の気持ち
長男が生まれて初めての節句を迎えるとき、祖母が「兜か五月人形を買ってあげたい」と言ってくれました。ありがたい話ですが、私はどうしても顔のある人形が苦手。夜に目が合うことを想像しただけで、不安な気持ちになってしまいます。
そこで勇気を出して祖母に伝えました。
「顔のある人形はいやだ」
祖母は一瞬驚いたようでしたが、すぐに笑って「じゃあ兜だけにしましょうか」と言ってくれました。その言葉に、心からホッとしたのを覚えています。
兜の意味を調べてみた
私は正直、行事の意味についてあまり詳しくありませんでした。そこで少し調べてみると、兜には「子どもを病気や災難から守り、健やかに成長するように」という願いが込められていることを知りました。
五月人形には武将の姿がよく使われますが、兜だけでも立派なお守りになるそうです。また、地域によっては母方の実家が用意する習慣がある一方で、最近では両家や親自身が購入するケースも増えているとのことでした。知識がなかった私にとって、新しい学びでした。
自分に合った祝い方で十分
顔のある人形が怖いという正直な気持ちを伝えたことで、無理をせず、家族みんなが納得できる形で初節句を祝うことができました。
同じように、人形の顔が怖い、夜に目が合うのが嫌だと感じている方もいるかもしれません。もしそうなら、兜だけでも十分に伝統を守りつつ、子どもの健やかな成長を願うことができます。
大切なのは“形そのもの”ではなく、子どもを思う気持ち。その思いがあれば、シンプルな兜だけでも、立派なお祝いになるのだと実感しました。
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