国勢調査は5年に一度、全国規模で行われる大切な調査です。私は今回、調査員として参加することになり、事前説明会に出席しました。ところが、その会場で思わぬ戸惑いを経験しました。今日はその体験を、ひとつの気づきとして残しておきたいと思います。
受付から混乱の連続
会場に到着すると、受付で言われたのは「席に座って待機してください」という一言でした。配布資料や座席の説明はなく、どこに座ればいいのか分からず戸惑います。知人が近くにいたので声をかけてもらい、ようやく指定の席にたどり着けました。後で分かったのですが、座席順の表は受付前の机に置いてあったのです。ただ、最初に案内がなければ気づけない人も多いはずです。
さらに後になって「YouTubeを見てください」との案内もありましたが、それだけでは要領を得ず、内容を十分に理解できないまま説明会は進行していきました。
備品チェックもなく進行
席についたものの、備品の確認や点検もないまま説明会が始まりました。国勢調査員の役割は、地域の一軒一軒を訪ね、正確な情報を集める責任ある仕事です。腕章や書類、調査票といった道具が揃っているかどうかを事前に確認するのは、参加者にとって安心につながるはずです。ところが、そのプロセスがごっそり抜け落ちていたのです。
支給された“謎の備品”
説明会では、調査に必要な資料や備品も配られました。その中身を見て、正直首をかしげました。
- 消しゴム付き鉛筆 10本
- 消しゴム 1個
- シャープペンシル 1本
- 14センチ定規
- 防犯ブザーつきライト
防犯ブザーつきライトは、夜道で調査に出る可能性もあるので「なるほど」と思いました。しかし、鉛筆が10本も必要なのか?消しゴムやシャープペンシル、さらには小さな定規まで本当に使うのか?と疑問が残ります。
鉛筆はせいぜい数本あれば十分でしょうし、どの場面で定規が要るか思いつかない、地図でも書くのか?。こうした備品はすべて税金でまかなわれています。必要以上の支給は「ムダ遣い」と言わざるを得ません。
おまけ:ざっくり試算してみたら…
もし1人あたり500円分の備品が無駄だと仮定するとどうなるでしょう。国勢調査員は全国でおよそ70万人。
500円 × 70万人 = 3億5,000万円。
「鉛筆や定規ぐらい」と思っても、積み重なれば大きな金額になります。たかが文具、されど文具。税金の使い道は細部にこそ表れるのかもしれません。
参加者として感じたこと
「最悪だ」と感じたのは事実です。しかし、時間が経って振り返ると、そこから学びもありました。
人に何かを依頼するとき、最初の「説明」がどれほど重要か。ほんの少しの案内があるだけで、不安は和らぎ、安心感に変わります。逆に、それが省略されると参加者は戸惑い、信頼を損なうことさえあります。
また、備品配布の一件を通して「税金の使われ方」にも改めて考えさせられました。必要なものと、そうでないものをしっかり仕分ける視点が欠けていると、無駄が積み重なってしまうのではないでしょうか。
毒をひとこと
せっかく5年に1度、全国規模で人口や男女比、年齢構成、県ごと・市ごと・町ごとの状況、さらには職業まで細かく調べているのに──その貴重なデータを人口減少の対策に本気で生かしてきたのか?と疑問に思います。
今になって「人口減少が大問題だ」と騒いでいますが、データはずっと手元にあったはずです。調査員に時間と労力をかけ、国民に協力をお願いして集めた“金のかかった情報”を、政治はどれだけ活かしているのか。
「調べただけで終わり」なら、それこそ最大の税金のムダ遣いではないでしょうか。
まとめ
今回の国勢調査員説明会は、私にとって大きな戸惑いと小さな気づきの場になりました。案内不足や備品未確認など、改善の余地は多々あります。また、支給品の内容には「なぜこれを?」と思わされ、税金の使われ方について考えるきっかけにもなりました。
次に誰かに説明する立場になったときには、今回の体験を糧にして「分かりやすさ」と「安心感」、そして「無駄のない準備」を大切にしたい。そう心に刻んだ一日でした。
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