便利さの裏にある環境コスト。豆腐を鍋で買った昔の買い物と、プラスチックごみの現代

学び

昔の買い物スタイルを振り返る

子どもの頃、豆腐を買いに行くときは鍋を持って出かけました。
豆腐屋さんが柄杓ですくって鍋に入れてくれる――そんな光景が当たり前。
野菜や魚も新聞紙で包まれていて、家に帰れば生ごみとして処理できました。
いま思えば、とてもシンプルで環境にやさしい暮らし方でした。

現代社会の便利さと環境負荷

それが今は、食品のほとんどがビニール袋やプラスチック容器に入っています。
保存も持ち運びも便利で、個包装のお菓子なら衛生的で食べやすい。
――しかし、その「便利さ」の後には、大量のプラスチックごみが残ります。

  • 世界で年間 5兆枚 のビニール袋が使われている
  • プラスチック包装は 廃棄プラスチックの約46% を占める
  • 分解には数百年かかり、やがてマイクロプラスチックとなって環境中に残る

この現実は、私たちの生活と直結しています。

生態系への影響

ポイ捨てされたお菓子の袋を野生動物が誤って食べてしまうことがあります。
海では、ウミガメや海鳥、クジラがプラスチックを飲み込み命を落としています。
研究では、死んだウミガメの 3割以上 からプラスチック片が見つかっているそうです。
小さなごみが、地球規模の生命の循環を脅かしているのです。

環境にやさしい袋の開発

とはいえ、ただ「やめよう」と言うのは現実的ではありません。
だからこそ、企業や研究機関は新しい素材の開発を進めています。

  • バイオマス由来の袋:トウモロコシやサトウキビを原料にしてCO₂排出を減らす
  • 生分解性プラスチック袋:自然環境で分解されやすい
  • リサイクル素材の袋:廃プラスチックを再利用して作る

たとえば、日本の「キラックス」は海で分解するレジ袋を開発。
「日本サニパック」は燃やすときのCO₂を減らす袋を販売しています。
小さな技術革新が積み重なり、社会は少しずつ変わり始めています。

私たちにできること

  • エコバッグを持ち歩く
  • 個包装より大袋を選ぶ
  • ごみを分別し、リサイクルに回す

どれも小さな一歩ですが、「昔の買い物スタイル」を思い出せば、そこにヒントがあるように思えます。

まとめ

豆腐を鍋で買った時代から、便利さを追求してきた私たち。
けれど、未来の世代のためには「環境負荷」も忘れてはいけません。
これからは、企業・政治・消費者が一体となり、持続可能な買い物の形をつくっていくことが求められます。
便利さと自然の調和――そのバランスを考えながら、日々の選択を見直していきたいですね。


追記(環境に配慮した袋・容器の広がり)

最近では、大手コンビニやスーパーでも環境にやさしい袋や容器の導入が少しずつ始まっています。

  • セブン‐イレブン
    「GREEN CHALLENGE 2050」という宣言を掲げ、2030年までにプラスチック製レジ袋の使用量ゼロを目標に。デリカ商品のフタをトップシールに替え、プラスチック使用量を約30%削減しました。
  • ローソン
    レジ袋に植物由来素材を30%配合。2025年2月時点でのレジ袋辞退率は 76.5% に達しています。
  • ファミリーマート
    サラダ容器を環境配慮型素材に切り替え、年間で約900トンの石油系プラスチック使用量削減を見込んでいます。スープ容器を紙製に変更する取り組みも進めています。
  • スーパー(イトーヨーカ堂・ヨークベニマルなど)
    生鮮食品の一部でトレーを使わず、ポリ袋包装に切り替える工夫を実施。
  • 地方スーパーの取り組み
    2021年には大分県中津市で、日本初の海洋生分解性プラスチック製レジ袋が導入されました。

こうした事例はまだ「部分的」ではありますが、確実に広がりを見せています。
日々の買い物でこうした動きに気づき、環境配慮の商品を選ぶことも、未来への小さな一歩になるのではないでしょうか。

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