「チャンスは前髪しかない」──この言葉を聞いたことがあるでしょうか。
由来はギリシャ神話の神様、カイロス。
彼は「好機」を司る神で、前髪しかなく、後ろには髪が生えていないそうです。
なぜか?
それは、チャンスというのは「目の前にいるとき」につかまないと、通り過ぎたあとでは、もう手が届かないという意味が込められているのです。
◆ ビジネスだけの話じゃない
こういう話を聞くと、「ああ、ビジネスの世界の話か」と思うかもしれません。
でも実際には、私たち一般の暮らしの中にも、静かに、こっそり、何気なく“それ”はやってきます。
たとえば、こんなふうに──
- 妻が、ちょっと寂しそうな声で「今日は外でご飯でも食べる?」と聞いてきたとき。
- 子どもや孫が、「ねぇ、ちょっと見てよ!」と見せてきた絵や工作。
- いつもの道で、ふと咲いていた季節の花に「おっ」と思ったとき。
- 朝起きて、「なんとなく今日は体が重いな」と感じたとき。
あのとき、すぐに言葉を返しておけば。
少し立ち止まって眺めておけば。
あの瞬間に、歩き出しておけば──
あとから「あれは小さなチャンスだった」と気づくこと、ありませんか?
◆ 迷う時間=チャンスの顔を見ている時間
私たちは、はっきり「これがチャンスです」と言われたら行動できます。
でも現実は、「これがチャンスかどうか分からないもの」がほとんど。
だからこそ、「あれ?」「なんか気になるな」と思ったとき、
その“なんか”に気づける感覚を大事にしたいと思うんです。
迷っている時間というのは、
実はチャンスの“顔”を目の前で見ている時間なのかもしれません。
しかもその顔は、すぐに通り過ぎてしまう。
◆ チャンスをつかむ準備とは
よく「チャンスは準備ができている人のもとに来る」と言われます。
これは大げさに聞こえるかもしれませんが、たとえばこんなことだと思うのです。
- 普段から健康に少し気を配っておく
- 大事な人の変化に、気づこうとする
- 「やってみたい」を胸の奥にしまい込まず、小さく始めておく
- 「今の自分でできることは何か?」と、時々振り返る
大げさな目標なんてなくていい。
でも、「目の前に何か来たときに、すぐに手を伸ばせる自分でいたい」
そんな思いが、チャンスとの距離を近づけてくれる気がします。
◆ まとめ:人生はいつも静かに問いかけている
振り返ってみれば、大きなことよりも、小さなことの積み重ねで人生はできていました。
あのとき、なぜか気になったひと言。
ふと気が向いた寄り道。
立ち止まった時間。
黙って聞いた誰かの話。
すべてが「何かを変えるかもしれなかった瞬間」だったのかもしれません。
だから私は、今日も歩きながら考えます。
「これは何かのきっかけだろうか?」と。
それはもう、“前髪しかない存在”かもしれないから。
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