クラシックTVで紹介されたストラディバリウス
2025年9月25日放送のNHK「クラシックTV」では、バイオリニストの古澤巌さんが登場し、1718年製のストラディバリウス「サン・ロレンツォ」を紹介しました。
古澤さんはその音色を「合気道のように何層にもなってドッバーっと虹のように響く」と表現。カルテットで弾くと周囲が驚くほどの迫力があり、キャノン砲のように響き渡ると語っています。
彼自身も以前は力強く弾こうと意識していたそうですが、むしろ「力を抜いてソフトタッチで弾く」ことでストラディバリウスの真価が発揮されると気づいたと言います。
その姿勢に、共演した門脇麦さんも「力を抜くのが一番難しい」と共感。音楽だけでなく、人生や仕事においても「力を抜いたほうがより響く」という共通点を示してくれるエピソードでした。
ストラディバリウスとは?
「名前は聞いたことがあるけれど、詳しくは知らない」という方のために、基礎知識を整理します。
- 製作者:アントニオ・ストラディバリ(1644~1737年、イタリア・クレモナの製作家)
- 製作数:生涯で約1100挺(ちょう/バイオリンなど弦楽器を数えるときの単位)を製作。そのうち現存するのは600挺前後とされます。
- 黄金期:1700~1720年代に製作されたものは特に高く評価され、「黄金期のストラディバリウス」と呼ばれます。
- 現在の価値:保存状態によりますが、オークションで数億円~20億円以上。2011年には「レディ・ブラント」が約15億円で落札されました。
- 代表的な名器
- 「メシア(1716年製)」:未使用に近い保存状態。オックスフォード大学所蔵。
- 「サン・ロレンツォ(1718年製)」:古澤巌さんが演奏。
- 「レディ・ブラント(1721年製)」:歴代最高額クラスで取引。
ストラディバリウスは、バイオリン界の“フェラーリ”とも言える存在。美しい音色と希少価値により、今も演奏家と収集家を魅了しています。
「挺」という数え方
ここで少し豆知識を。
バイオリンは「1挺(いっちょう)、2挺(にちょう)」と数えるのが伝統的な表現です。これは、刀や銃といった「細長く手に持つ道具」を数えるときの助数詞が由来です。日常では「本」や「台」で代用されることもありますが、専門的な文章では「挺」が使われます。
例:ストラディバリは生涯で約1100挺のバイオリンを製作した。
力を抜いたときに響く音
古澤さんの言葉からは、ストラディバリウスの音色だけでなく、人生のヒントも見えてきます。
- 無理に力むよりも、余計な力を抜いたほうが響き渡る。
- 音楽だけでなく、人間関係や日常のふるまいでも同じことが言える。
ストラディバリウスは単なる楽器ではなく、私たちに「力を抜いて生きることの大切さ」を教えてくれる存在なのかもしれません。
おまけ:百聞は一聴にしかず
バイオリンを弾けない人でも、そばで一度その音を耳にしたら言葉を超えて伝わるはずです。
まさに “百聞は一聴にしかず”。
本や記事でどれほど読んでも、実際にその響きを体感することに勝るものはありません。
いつかストラディバリウスの演奏会に足を運び、その音を全身で浴びてみたいものです。
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