導入
正直なところ、私は昔から「夏に毛糸の帽子をかぶっている人」を見かけると、
心の中で「なんでそんなことを? うましかじゃないの?」と思っていました。
ずっと不思議に感じていたのですが、ある時、TVドラマ「19番目の〇〇」第1話で、
「火を使う仕事をしていると暑さに慣れて寒がりになる」というセリフを耳にしたのです。
「えっ、そんなことあるの?」と思い、調べてみたら……どうやらちゃんとした理由があるらしいのです。
暑い環境で働くと「暑さに強くなる」のはなぜ?
この現象は 暑熱順化(しょねつじゅんか) と呼ばれます。
人は暑い環境で生活や仕事を続けると、体が次第にその環境に適応する仕組みを持っています。
- 発汗機能が高まる → 体温を効率よく下げられる
- 血流が皮膚表面に増える → 放熱しやすくなる
- 心拍数や体温のコントロールが安定 → 暑さに強くなる
こうした変化のおかげで、同じ温度でも「以前より暑く感じにくい」体質になるのです。
製造業の現場で感じたこと
私自身、サラリーマン時代は製造業で働いていました。
現場は常に高温で、真夏にはさらに過酷な環境でしたが、いつの間にか「多少の暑さなら我慢できる」体になっていました。
ところが一方で、冷房の効いたオフィスに入ると 設定温度27℃でも寒い と感じることがありました。
これは、体が暑さに適応している分、逆に涼しさや冷気に敏感になっていたからだと、今なら理解できます。
夏にマフラーや毛糸の帽子をする人の理由
ここで冒頭の話につながります。
夏に毛糸の帽子やマフラーをしている人がいるのは、単なるファッションだけではなく、こんな理由も考えられます。
- 暑熱順化で寒がりになり、冷房の冷気から体を守っている
- 紫外線や日焼け対策で帽子をかぶっている
- 髪型を隠すため、あるいはおしゃれの一部として身につけている
「なんで?」と思っていた行動にも、それぞれの背景や身体の事情があるわけですね。
① だれかの役に立つ気づき
この知識は、単なる雑学にとどまりません。
「冷房が寒い」と訴える人を見て「わがまま」と思うか「体質だから仕方ない」と思うかで、人間関係は大きく変わります。
- 職場や家庭での 冷房温度のトラブルを防ぐ
- 高齢者や子どもの 体温調整への理解が深まる
- 「人によって快適さの基準は違う」と知ることで、互いに優しくなれる
暑熱順化を知ることは、人を理解するきっかけになるのです。
② 暑熱順化した人の体温管理の工夫
「暑さに強いが寒さに弱い」タイプの人は、次のような工夫で快適に過ごせます。
- 冷房の設定を工夫:室内外の温度差を5℃以内に
- 羽織りものを携帯:薄手のカーディガンやマフラーで調整
- 水分・塩分補給:発汗で失われる分をしっかり補う
- 徐々に暑さに慣れる:散歩や軽い運動で自然に暑熱順化
- 人と比べない:体感温度は人それぞれ。自分の快適さを大切にする
まとめ
- 暑い環境で働くと、体は「暑熱順化」で暑さに強くなる
- その反面、冷房の効いた27℃の部屋でも寒く感じることがある
- 夏に毛糸の帽子やマフラーを身につけるのは、寒がり対策やファッションなど理由がある
- この知識は、人への理解や体温管理の工夫に役立つ
若い頃には気づかなかった体の仕組みを、年齢を重ねてから知ることも多いものです。
「うましかだ」と思っていた行動の裏に、意外な科学や体の順応が隠れている。
そんな発見を共有することが、セカンドライフの楽しみの一つかもしれません。
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