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「おい、今から関税25%な」
「……え?」
「でもお前が折れたら、15%で手を打ってやるよ。ありがたく思えよな」
こんなセリフ、どこかで聞いたことありませんか?
そう、まるでアニメ『ドラえもん』のジャイアン。
あるいは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のビフ・タネンのようなやり口です。
実際、アメリカのトランプ前大統領は、こうした“脅してから下げる”交渉術を使ってきました。
関税を“つり上げてから下げる”戦略
たとえば日本への関税の話。
もともと2.5%しかなかったものに、トランプ政権は突然25%を提示。
そこから1%上乗せして「26%」という数字までちらつかせ、最終的には「15%にしてやるよ」と引き下げた。
結果だけを見れば「15%で済んだならよかったじゃないか」と思うかもしれませんが、これは最初から15%に誘導するための仕組まれたシナリオだったという見方もできます。
“マッドマン・セオリー”とは
トランプ氏が好んだとされる手法に、「マッドマン・セオリー(狂人理論)」というものがあります。
これは、
「この人、何をするかわからない」と思わせて、相手に譲歩させる戦略。
あえて常識外れの要求を出し、交渉相手を不安にさせて、自分に有利な形で落としどころに持ち込む。
「もしこのまま突っぱねたら、本当に25%やってくるかもしれない」
そんな不安を抱かせることが、このやり方の肝です。
ジャイアンとビフ・タネンの“共通点”
「ジャイアン」のように強引に「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」と押しつける。
あるいは「ビフ・タネン」のように、
富と力を背景に相手をねじ伏せるタイプの交渉。
実は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の脚本家が、ビフのキャラはトランプ氏を参考にしたと認めているほど。
つまり、これは偶然の一致ではなく、“トランプ式”という明確な型があるということです。
赤沢ジャパンはやられたのか?
では、日本側はどうだったのか。
赤沢経済再生相は、粘り強く交渉を重ね、最終的に15%に落ち着かせました。
もしそのまま25%で決着していたら、日本側は約10兆円の損失とも言われていたので、数字だけ見れば「大きな成果」かもしれません。
しかし、こうした“ジャイアン式”の交渉をされた時点で、すでにペースを握られていたともいえます。
日本は「被害を最小限に抑えた」にすぎず、「主導権を取った」とは言いにくいのです。
なぜこんなことが通ってしまうのか?
関税は本来、国と国との合意で決めるべきルール。
にもかかわらず、トランプ氏のような“独断型”のリーダーが強引に持っていってしまう現実があります。
実際、世界貿易機関(WTO)は「国際法違反」と認定しましたが、アメリカがその判断に従うことはありませんでした。
理由はシンプル。
「罰則がないから」です。
国際社会のルールは「守って当然」の前提で成り立っているため、“強引な人”には意外と効かない仕組みでもあります。
この話から学べること
今回の関税交渉は、外交の話であると同時に、私たち自身の交渉ごとにも通じる話です。
・最初に高くふっかける人
・強引な態度でこちらを焦らせてくる人
・譲歩したように見せて、実は最初から狙っていた人
身近にもいませんか?こういう人。
「ありがたく思え」と言われても、それは本当に“得した”のか?
それとも、“うまくやられた”だけなのか。
ビフやジャイアンのような相手に、冷静に立ち向かう力。
そんな視点を持つきっかけになればと思って、このブログを書いてみました。
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