テレビをぼんやり眺めていたとき、コメンテーターが言った。
「最近はインフルエンサーがですね……」
この瞬間、私の頭の中でツッコミが炸裂した。
「インフルエンサー? なんでインフルエンザみたいな名前なんや。
親戚か? 派生型か? A型とB型の新しい仲間か?」
もうね、似てるにもほどがある。
“ザ”と“サー”を入れ替えただけで、意味は地球の裏側レベルで違うのに、
発音もリズムもやたら似ている。
そもそも なんでこんな紛らわしい名前が世間に定着したんだ?
ここが私としては最大の疑問であり、正直、ちょっと腹が立つ。
■ インフルエンザは「病気」
言わずと知れた冬の悪者。
ウイルスが原因で、
高熱、全身のだるさ、関節の痛み……
なるべく関わりたくない存在だ。
■ インフルエンサーは「人」
一方でインフルエンサーは、ウイルスでも病気でもない。
SNSやYouTubeなどで多くの人に影響を与える“発信者”だ。
企業のPRにも登場する、現代の広告塔。
……いやいや、名前が近すぎるわ!
■ で、誰がこんな名前つけたのか?
ここが今回一番言いたいところだ。
influence(影響を与える)という英語からの派生ではあるが、
日本での広まり方は完全に“マーケティング業界の産物”だ。
広告代理店、SNSマーケ界隈が
「影響力のある個人を指すオシャレな言葉」として使い始め、
テレビがそれをそのまま採用し、
一般層にも浸透した。
しかし私は思う。
もっとマシな名前あったやろ。
なぜインフルエンザと混同するレベルの響きにしたんだ。
■ カタカナ語は勝手に独り歩きする
インフルエンサーに限らず、日本のカタカナ語は本来の意味から大きくズレていく。
例えば――
和製英語いろいろ
● フロントガラス
英語:windshield(ウィンドシールド)
ひと言:ちゃんと「風を防ぐ盾」という意味。フロント関係ない。
● シュークリーム
英語:cream puff(クリーム・パフ)
ひと言:「shoe」ではなく、仏語「シュー=キャベツ」が語源。
● ホチキス
英語:stapler(ステイプラー)
ひと言:ホッチキス社の商品名がそのまま定着。
● チャック
英語:zipper(ジッパー)
ひと言:これも日本のメーカー名が語源。
こうしてみると、日本語は外国語を取り入れるときに、
勝手に意味をねじ曲げたり、別物にしたりする癖がある。
そして今回の主役――
フィードバックも、この仲間だ。
■ フィードバックはギターの「ギィィーン!」が本来の姿
会社では
「この資料フィードバックお願いします」
などと使われがち。
しかし本来の feedback は、まったく別物。
✅ 本来のフィードバック
アンプに近づけたギターが、
“キーン!” “ギーーン!”
と鳴らす、あの発振音のこと。
✅ 有名なフィードバック奏法
・ザ・フーのピート・タウンゼント
・ジミ・ヘンドリックス
・ビートルズ「I Feel Fine」
「I Feel Fine」のイントロの“ブイィィーーーン”がまさにそれ。
✅ 再現方法(こだわりポイント)
ギブソン J-160E をアンプにつなぎ、
5弦の開放(A/ラ)を弾く
→ アンプが鳴らす音をギターが拾う
→ その音がまたアンプへ
→ 永久ループでギーン!
これが本物のフィードバック。
正直、日本での
「アドバイスください=フィードバック」
という使い方を見るたびに、
私は心の中で
「ギーーン!って鳴らせばええんか?」
と思ってしまう。
■ 結論:言葉は勝手に広がる。でも納得いかんものは納得いかん
インフルエンザとインフルエンサーの紛らわしさ。
フィードバックの意味のズレ。
和製英語の独自進化。
どれも“日本語の面白さ”と言えばそうだが、
腑に落ちないものは腑に落ちない。
ただ、
言葉の裏側を知るとふと笑える。
イラッとするカタカナ語も、
こうして眺めてみると意外と楽しめるものだ。
あなたはどう感じますか?


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