大谷翔平の試合を観戦していてずっと感じていた違和感――グラウンドは神聖な場所ではないのか?

違和感

私は大谷翔平選手の試合をよくテレビで観ています。メジャーリーグの試合は早朝や午前中に行われることが多いので、時間が合えばリアルタイムで、難しいときは録画や配信でゆっくり観戦しています。
ポストシーズンに入ってからは特に注目度が高く、毎試合ワクワクしながら画面の前に座るのが習慣になりました。

野球経験者として、どうしても気になる「唾を吐く」シーン

そんなMLB観戦の中で、ずっと前から気になっていることがあります。
それは、選手がグラウンドに平然と唾を吐く姿です。

私は学生時代に野球をやっていました。その経験から、グラウンドという場所には「神聖さ」のようなものを感じています。整列して礼をする、日本の野球独特の文化が体に染みついているのでしょう。
そんな私にとって、MLBの試合中に選手が当然のように唾を吐くシーンは、どうしても違和感を覚える瞬間なのです。

特に、日本のトップ選手たちと比べるとその差は顕著です。
大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希といった日本を代表する投打のスター選手たちが試合中に唾を吐く姿を見たことはほとんどありません。
彼らの姿勢には「さすが日本人選手だ」と思わされます。
残念ながら、カブスの鈴木誠也選手はアメリカ流に染まったのか、たまに唾を吐く場面もあり、せっかく結果を残しているだけに少し惜しい気持ちになるのです。

MLBで唾を吐く行為には文化的な背景がある

アメリカの野球では、唾を吐く行為は決して「マナー違反」として扱われていません。そこにはいくつかの理由と長い歴史があります。

  1. ガムやひまわりの種による習慣
     MLBの選手は試合中、ガムを噛んだりひまわりの種を食べたりすることが多く、自然と殻や唾を吐き出す行為が生まれます。これは、緊張をほぐすためのリラックスの一部でもあります。
  2. 噛みタバコ文化の名残
     19世紀、乾燥したフィールドで口を潤すためにタバコを噛み、唾を吐くことが当たり前だった時代がありました。その名残が今も残っているといわれています。
  3. 集中力を高めるルーティン
     投球や打席前に唾を吐くことで、気持ちを切り替え、集中力を高めるルーティンのような役割を果たす選手も少なくありません。

アメリカの日常にも根付いた習慣

この唾吐きは野球に限らず、アメリカでは屋外でよく見られる行為です。
公園や通りなど、屋内外を問わず男性も女性も子どもも、特に気にせず“ペッ”とやる場面が珍しくありません。
映画館や博物館のような屋内では控えるものの、野球場やサッカー場といった屋外の場では、ごく自然な行為として受け止められています。
日本のように「道徳の時間」でマナーや場を重んじる教育があるわけでもなく、公共空間の使い方の感覚がそもそも違うのです。

世界のスポーツに目を向けても…

実は、唾吐きが目立つのはアメリカだけではありません。
ヨーロッパのサッカーでは、選手がピッチ上で走りながら“ペッ”と吐くのはごく日常的な光景です。
中国やインドの一部地域では、嗜好品や伝統的な習慣と結びついて日常的に行われています。
対照的に、日本では唾吐きは強い嫌悪感を伴う行為であり、街中やスポーツの場で見かけることはほとんどありません。
こうした感覚の違いは、社会全体の価値観や教育によって長い年月をかけて形成されてきたものです。

グラウンド整備という文化の違い

さらに印象的なのが、グラウンド整備のあり方です。
日本では、特に学生野球で、試合後に選手たち自身がグラウンドを整え、整列して一礼して引き上げる光景が当たり前です。
この姿勢は、単なる「後片付け」ではなく、グラウンドを神聖な場ととらえ、相手や環境に敬意を示す文化そのものです。

一方、メジャーリーグではグラウンド整備は完全にスタッフの仕事。
選手がトンボをかける姿はまず見られず、整列や一礼といった光景もありません。
この違いは、野球という競技を取り巻く文化や価値観の差として非常に象徴的です。

「野球」と「ベースボール」は似て非なるもの

野球はもともとアメリカ発祥のスポーツですが、プレー以外の部分に目を向けると、日本の「野球」とアメリカの「ベースボール」には驚くほどの違いがあります。

  • ベースボール:唾を吐くのは日常、グラウンド整備はスタッフ任せ
  • 野球:礼を重んじ、学生時代から自分たちで整備し、試合後には一礼する文化

同じ競技でありながら、こうした違いは単なるマナーの差を超えて、社会の価値観や人々の意識の違いを映し出しています。

違いを知ることで、観戦の見方も変わる

大谷翔平選手の活躍を観るのは本当に楽しみです。
その一方で、MLB観戦を通じてこうした文化の違いに気づくこともまた、観戦の面白さの一つだと感じています。
日本の野球に慣れた目には不快に映るシーンでも、背景を知ることで少し視点が変わってきます。

皆さんは、MLB選手が唾を吐くシーンをどう感じますか?
価値観の違いを意識しながら観ると、同じ試合でも新しい発見があるかもしれません。

追記:関連のある野球の話、下記に3話あります。これらも見てください。

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