「人に指を指すと刺される」──そんな言葉を聞いたことがありますか。
少し怖い表現ですが、実は人の心理や文化をよく言い表していると思います。
指を指すというのは単なる動作のようで、実は心のあり方が透けて見える行為なのです。
◆ 指を指すという行為
日本では昔から「人に指を指すのは失礼」と言われます。
とくに目上の人や他人に向かって指を伸ばすのは、相手を“責めている”ように見えるからです。
ビジネスの場でも同じで、誰かを指差して注意したり、強い口調で指を突きつけたりすると、
たとえ内容が正しくても「責められた」と受け取られることがあります。
私も、会社員時代にこのことを教わりました。
◆ 先輩の一言が今も残っている
ある日、社内で打ち合わせをしていたときのこと。
何気なく、相手を指で示して話していた私に、先輩社員が静かに言いました。
「人に指を指すのはやめたほうがいいよ。相手は刺されたように感じるから。」
その言葉にハッとしました。
悪気がなくても、相手の心にトゲを立ててしまう──。
それ以来、私は人を示すときは手のひらを上にして、柔らかく伝えるようにしています。
今思えば、あの一言は本当にありがたかった。
礼儀というより、「相手を思いやる心」を教えてもらった気がします。
◆ 世界でも“指差し”は敬遠されている
この感覚は日本だけではありません。
アメリカやヨーロッパでも、人を指さす行為は“責任を押しつける”ニュアンスを持ちます。
英語にも「Don’t point fingers(指を指すな)」という表現がありますが、
これはまさに「人を非難するな」という意味です。
アジア諸国でも同様で、中国やマレーシアでは人差し指で人を示すのは失礼とされ、
代わりに手のひらを使うのが礼儀とされています。
つまり、文化が違っても「人を指す=人を刺す」構図は共通しているのです。
◆ TVで気になる“指差し”
一方で、テレビを見ていると気になる場面もあります。
たとえば、TV朝日の元社員・玉川氏が討論番組などで、
発言の勢いのままに指を突き出すシーン。
もちろん本人に悪意があるわけではないでしょう。
しかし、テレビという多くの人が見る場では、
指差しが強い主張や攻撃の象徴として映ってしまうことがあります。
言葉の内容よりも、指先の動きが印象に残る。
それほど「指を指す」という行為は、人の心に“刺さる”のです。
◆ 手のひらを開くという生き方
誰かを指差して責めるより、
手のひらを開いて「一緒に考えよう」と伝えるほうが、
人は素直に耳を傾けてくれます。
指を指せば心がとがる。
手のひらを開けば、人が近づく。
先輩に教わったあの一言を、
これからも大切にしていきたいと思います。
🪶 まとめ
- 「指を指す」は多くの国で“非礼・攻撃的”と見なされる。
- 指を指す行為は、無意識に相手を“責める”印象を与える。
- 一方で、手のひらを開く動作は“受け入れ”の象徴。
- 言葉よりも、仕草が心に残る。だからこそ丁寧に。


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