料理は、素材の質と料理人の腕と経験で決まる。
そう思っていた。
ドラマの中で、こんなセリフがあった。
「料理人のメンタルが微妙に味に影響してくる」
そのときは、へぇ、と思っただけだった。
正直に言えば、私は食に強いこだわりはない。
出されたものは黙って食べる。
好き嫌いもほとんどない。
だから、「気持ちで味が変わる」と言われても、
最初は半信半疑だった。
でも、長く仕事をしてきて思う。
魂を込めた仕事は、必ず相手に伝わる。
逆に、気が乗らないままやった仕事は、
どこかに出る。
仕上がり、空気、相手の反応――
ごまかせない。
料理も同じなのかもしれない。
鍋に気持ちが移るわけじゃない。
ただ、手つきに出る。
丁寧にやれば丁寧になる。
テキトーにやれば、それなりになる。
特別な話ではない。
ただ、それだけのことだ。
料理番組で、最後に「美味しくなれ」と言う場面がある。
昔は演出だと思っていた。
でも今は、少しだけ分かる気がする。
気持ちは目に見えない。
けれど、行動にはにじむ。
そして、その行動を受け取る誰かがいる限り、
それはちゃんと伝わる。
だから今日も、
料理でも仕事でも、
できるだけ魂を込めたいと思う。
うまくできなくてもいい。
せめて、テキトーにはしない。
それくらいは、できる気がしている。

コメント