飛行機は怖い。
あの鉄の塊が、空を飛ぶとはどうしても思えない。
地上にあるものは、必ず地上に降りる。
昔から、どこかでそう思っている。
新潟県柏崎市の米山大橋。
あそこが、どうにも怖い。
車道は二車線で、大型トラック同士でもすれ違える。
設計としては、何の問題もないのだろう。
それでも、やけに狭く感じる。
橋の欄干……というのか、
左右にある、あれが低い。
運転席から下が丸見えで、足がすくむ。
正直、下が見れない。
「したみれない」という感じだ。
みんな、よくここを走っているなあ、と思う。
怖くないんだろうか。
50歳くらいまでは、こんなことは全然気にしていなかった。
それが、60を過ぎたあたりからだろうか。
なんだか、いらんことを考えるようになった。
「なんか、こえーな」
そんなふうに思うことが増えた。
そして、そのたびに思う。
――俺だけ、おかしいんかな。
だって、みんな平気で走っているじゃないか。
飛行機だってそうだ。
統計的には、ものすごく安全らしい。
99.99999999%とか、そんな数字が並ぶ。
でも、安心かと言われると、別だ。
安全と安心は、どうやら同じじゃない。
頭ではわかっていても、
身体が納得しないことがある。
若い頃は、見ないようにしていたのかもしれない。
考えないようにしていただけかもしれない。
今は、見えてしまう。
考えてしまう。
落ちたらどうなるかを、具体的に想像してしまう。
それを「おかしい」と言えば、そうなのかもしれない。
でも――
怖いものを怖いと感じる感覚が、
まだ残っているとも言える。
年を取るって、
平気になることじゃなくて、
感じることが増えることなのかもしれない。
そう思うことにした。

コメント