大谷翔平の曼荼羅(マンダラ)チャートを見て、引っかかったこと

違和感

大谷翔平が高校時代に書いた曼荼羅(マンダラ)チャートは、今ではあまりにも有名だ。目標を中心に置き、それを細かく分解し、行動にまで落とし込む。出来すぎた話に見えるほど、整っている。

このチャートを初めて見たのは、もう何年も前のことだ。以来、何度か目にするたびに、妙な引っかかりが残る。すごいとは思う。ただ「すごい」で終わっていいのか、という気持ちもずっとある。

チャートが有名になった順番がおかしい

引っかかっているのは、こういうことだ。大谷がMLBで結果を出すより先に、このチャートは注目されていたのか。おそらく違う。チャートが有名になったのは、大谷が「大谷翔平」になってからだ。成功したから遡って「だからあの時のチャートはすごかった」という話になっている。チャートが成功を呼んだのか、成功がチャートを有名にしたのか。その順番が、どうも曖昧なままだ。

思い返すと、昔、成功哲学の本を読んだことがある。細かい内容は忘れたが、「3年後、5年後の自分を紙に書く。目標を見える形にすることが大事だ」というようなことが書いてあった。大谷のチャートを見たとき、「あの本と同じやな」と思った記憶がある。あの手法は大谷が考えたわけじゃない。成功哲学の世界では、ずっと前からある話だ。ただ、あの手法で目標を書いた人間が全員成功しているかというと、そんなことはないはずだ。

菊池雄星も書いたはずだ——なぜ出てこないのか

もうひとつ気になっていることがある。あのチャートは、大谷が自分から書いたのか。それとも、花巻東の監督・佐々木洋監督が全員に書かせた宿題のようなものだったのか。私の記憶では、そういうエピソードがあったような気がするのだが、はっきりしない。

もしそうなら、菊池雄星も書いたはずだ。菊池は今もMLBで投げている。花巻東の同期として、同じように目標を書いた可能性は高い。なのに、菊池の曼荼羅チャートは話題にならない。世に出せるレベルでなかったのか。大谷に話題が集中して埋もれたのか。本当のことは本人にしか分からない。

先日、菊池雄星の考え方についての記事を読んだ。AIにも負けない「感性」の話だった。投手として生き残るために、相当な思考と自己管理があったはずだ。ただ、菊池の高校時代の目標シートが話題になることはない。成功者には必ず「考え方」がある。ただ、それが紙に書かれ、外に見える形で残るかどうかは、また別の話だ。

マスコミは何でも大谷に結びつける

食事、睡眠、幼少期のエピソード。すべてが「だから大谷はすごい」という文脈で語られる。チャートも、その一つのような気がしてならない。失敗していたら、誰もあのチャートを取り上げなかっただろう。

ただ、もし監督が全員に書かせたとしても、大谷のチャートがあれだけ整っているのには理由があると思う。高校生が一度書いてそのまま、ではあの完成度にはならない。何度も見直して、考えて、書き直した結果があの形なのではないか。そう思うと、チャートそのものより、何度も向き合った時間の方が大事だったのかもしれない。ただ、それは大谷本人にしか分からない話だ。

俺には別の話だ

自分を振り返ると、40年間、製造の現場に立ってきた。目標を書いたことがないわけではない。管理職になってからは半期ごとに書いた。一般社員でも書かせる時代になった。ただ、大谷のチャートとは別の話だという感覚がある。あれほど細かく、マス目に書き込んだことはない。感心はする。ただ同時に「俺には別の話やな」という感覚もある。

すごいとは思う。ただ、マスコミが「すごい」と言えば言うほど、なんとなく距離を置いて見たくなる。それが俺の正直なところだ。

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