「しこう」と打ったら6種類出てきた。同じ音で、意味が全部違う

違和感

パソコンのキーボードに指を置いた。

YouTube用のリラックスBGMを作ろうと思っていた。音楽を作るAIで音を組み合わせて、それらしい曲を仕上げる。できあがった音を流しながら、町内会の議事録を書いていた。

しばらく聞いていたが、だんだん気になってきた。

うるさい。

リラックスBGMのはずなのに、妙に主張してくる。結局、途中で止めてしまった。

「BGMなのに、なんでこんなに邪魔なんだ」

少しイライラしながら、音を止めて議事録を書き続けた。そんなことを考えながら、AIへの指示文をいろいろ試していた。

「試行錯誤」と打とうとして、「しこう」と入力する。

すると変換候補に、6つの言葉が並んでいた。

「しこう」という音の不思議

試行。思考。嗜好。志向。指向。至高。

同じ「しこう」でも、意味は全部違う。

BGMを作っている今の俺は、まさに試行錯誤の途中だ。とりあえずやってみる。音を重ねてみる。でも、うまくいかない。うるさい。邪魔だ。

そこで、なぜだろうと考え始める。ここで「思考」が始まる。

続けていくうちに、だんだん自分の好みも見えてくる。3声のハモリを入れたい。ドラムから始めて、ベース、ギター、ピアノを一つずつ重ねていきたい。静かなのに耳に残る音。聴いていても邪魔にならない音。こういう音が好きだとわかった。これが「嗜好」だ。

じゃあ、どういうBGMを目指すのか。音楽番組で見た。南国の人たちはある音階の音楽を好む、と。ブログは日本語で書いている。届く相手は日本人だけだ。でもYouTubeなら世界に届く。競合も少ない。その発想が「志向」だった。

ところが、AIはなかなか言うことを聞いてくれない。

指示文にどれだけ細かく書いても、できあがった音は全然違う。3声のはずが1声になる。静かなはずが騒がしくなる。俺の「指向」――向かいたい方向はハッキリしているのに、道具がついてこない。

これはもどかしいじゃねーか。

でも、考えてみれば、ブログも最初はそうだった。1年近く書き続けた。最初は何を書けばいいかわからなかった。それでも続けたら、だんだん自分の言葉が出てきた。書こうとしていることと、実際に書けることが近づいてきた。頭の中にある「指向」を言葉にできない。そのもどかしさは今も少し残っている。俺の方が浅はかだったかもしれない――道具のせいにしていたが、まだ自分の「思考」が足りなかっただけだ。

順番のように見える

試行。思考。嗜好。志向。指向。至高。

同じ「しこう」でも、意味は全部違う。でも並べてみると、何となく順番のようにも見える。

いつかこれが一番いいと思える音ができるかもしれない。それが「至高」なのだろう。いつかそこへ行けるかどうかはわからない。でも目指している間は、少なくとも動き続けている。

俺は今どのあたりにいるのか。「試行」と「思考」の間をうろうろしているあたりが、正直なところだ。

ま、それでいいか。

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