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実は一度、この記事を書くのをやめた。
書き始めたら、説明と説教ばかりになった。「弦高を確認しろ」「ネックの反りに注意しろ」。そういうことを書いても、俺が言いたいことじゃないと思ってやめた。
だから今回は、俺が20台くらいのアコースティックギターを触ってきて感じたことだけを書く。正しいかどうかはわからない。ただ、こういう見方もあると思って読んでほしい。
迷ったら、好きなアーティストと同じギターを選べ
一番ハズレがないのは、自分の好きなアーティストが使っているのと同じギターを選ぶことだ。あの人の音が好きで始めたなら、その人と同じギターを持てば、憧れの音に近づく。
同じ物が手に入らないなら、コピー版でいい。
それも無理なら、色や形が似ているものでいい。
音は、後回しでいい。
音の良し悪しは、弾いているうちに耳ができてから分かってくる。
先に要るのは、手に取りたくなる一本だ。
そして、お金に余裕があるなら、見た目で選んでいい。かっこいいと思ったギターは、部屋に置いてあるだけで手に取りたくなる。何より、弾くたびにテンションが上がる。それが続ける力になる。
値段の話もしておく。俺の感覚だと、中古で5万も出せば、ちゃんとしたものが買える。20万出せるなら最高だ。
いいギターは「箱」が鳴っている
まず聴いてほしいのは、生音の鳴り方だ。
いいギターは、弦をはじくと、その振動がギターの箱(ボディ)に伝わって、箱全体が鳴る。弦の音じゃなく、箱から音が出てくる感じがする。胸に響くと言えばいいか。
いまいちなギターは、これがない。弦がビーンと鳴っているだけ。箱が鳴っていないから、弦の振動の音しかしない。
これはエレキギターでも同じだ。生で弾いて箱が鳴るギターは、アンプを通してもいい音がする。
言葉で説明するのは難しい。でも何本か弾き比べれば、「あ、これは箱が鳴ってる」というのが体でわかるようになる。
3弦がよく鳴るギターは、全体的にいいギターな気がする
根拠はない。俺の感覚の話だ。
アコギの3弦(G弦)は、俺の感覚では一番鳴らすのが難しい。俺が触った中では、安いギターほどこの3弦が「引っ込む」。高音と低音だけ出て、中音域が薄い感じになる。
逆に言うと、3弦がちゃんと前に出て、変にビリつかない(ビビり音が出ない)ギターは、全体のバランスがいい可能性が高い。
友人のギターを含めて20台ほど触ってきた中で、「これいいな」と思ったギターは、だいたい3弦が素直に鳴っていた。
どこで読んだか忘れたが、「安いギターにも、お宝が潜んでいる」という話を聞いたことがある。ボロく見える木の組み合わせが、なぜかうまくはまって、100万円のギターに負けない音を出す個体がある。そういうことなんだと思う。ただしこれは確率の話だ。ギターのギの字も分からないうちは、当てにしなくていい。
新品でも中古でも、価格で切らず、3弦を弾いてみて判断してほしい。
弦高は低い方が弾きやすい
弦高(げんだか)は、フレットの頭から弦の下までの高さのことだ。12フレットのあたりで測る。指板から測ると、フレットの高さの分だけ多く出る。
標準は6弦側で2.5ミリ前後、1弦側で2ミリ前後らしい。1本の数字では言えない。でも俺の感覚だと、6弦側で2ミリ、1弦側で1.5ミリくらいまで低い方が押さえやすくて弾きやすい。指が楽だ。
弦高はサドルだけで決まるものでもない。ナットの溝や、ネックの反りでも変わる。俺が買ってよかったと思っているギブソンのJ-160Eは、ブリッジの両端にネジがあって、マイナスドライバーで回すとサドルが上下する。買うときに、その店で下げてもらえるかを聞いておくといい。
店で弾かせてもらったとき、押さえて「硬いな」「指が痛いな」と感じるやつは、弦高が高い。低いものを選ぶと、それだけで練習が続く。指が痛くて嫌になる、というのが減るからだ。
ネックの握りやすさも大事だと言われる。ただ俺の感覚だと、どれもそんなに変わらない。タカミネのかまぼこ型のネックは、悪くなかった。
弾かせてくれる店を選べ
ギターは触ってみないとわからない。だから、ガンガン弾かせてくれる店を選ぶことが大事だ。
どの店でも、まず店員に声をかけるところから始まる。ピックは持参して、使っていいか一言聞く。それで断られたことは、俺は無い。
地方の小さな楽器店は、傷を嫌がってピック禁止のところがある。店の気持ちもわかる。でも買う側としては、ピックで弾いた時の音を確認したい。判断できないまま買うのは困る。
ギターを探すなら、試奏を「どうぞ」と言ってくれる店を最初に選ぶこと。それだけで候補が絞れる。
近くに大手がない人もいる。試奏できる店が見つからないなら、ネットで候補を絞ってから動くのも一つの手だ。石橋楽器店は品揃えが多い。調べたら、通販だけでアコースティックギターが2,000本以上あった。目星をつけて、弾ける店で確かめればいい。
音がわからなければ、わかる人間を連れて行け
「音の良し悪しが自分ではよくわからない」という人は、遠慮なく詳しい友人を連れて行くべきだ。気を使わない相手がいい。「こっちの方がいい」と正直に言ってくれる人間が必要だ。
それだけで、失敗はかなり減る。
連れて行く相手がいないなら、店員に聞けばいい。「こういう音が好きだ」「予算はこれくらい」と言えば、向こうが何本か出してくる。それも相談だ。
結局、長く付き合うのは「手放さなかったギター」
値段じゃない。スペックじゃない。カタログの数字でもない。
自分の手で弾いたとき、「あ、いいな」と思えるかどうか。その一瞬が全てだと思う。
正解だったギターじゃなく、手放さなかったギターが、結局一番のギターになる。
※この記事は20台くらいのアコギを触ってきた個人の感覚です。楽器選びの参考の一つとしてお読みください。

