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店に払った修理代が33,000円。これには帰りの送料まで入っている。ここに行きの送料4,310円と代引き手数料660円を足して、財布から出たのは37,970円だった。内訳は後で表にする。
直したのは、24年前に20万円で買ったギブソンのJ-160E。1964年(昭和39年)の型を復刻した1997年(平成9年)製で、9年間アンプから音が出なかった。
押し入れに鳴らないギターがある人へ書く。直すか、売るか、捨てるか。決めるのは本人だ。
9年、音が出なかった
生の音は出る。アンプにつなぐと、出ない。
2017年(平成29年)にケースから出したときには、もう鳴らなかった。それから9年そのままだ。弦だけは替え続けていた。2006年(平成18年)から2024年(令和6年)まで、張った日と銘柄を台帳につけてある。(その台帳の話はアコギの弦交換|22年の台帳でわかった「替え時」に書いた)当時はまだ、音は出ていた。
23年前、俺は同じことを掲示板に書いていた
2003年(平成15年)、あるギターの掲示板に俺は書き込んでいる。ノー・リプライのサビの、あの音が出ない、と。いろいろ試したけれど出ない、と書いていた。誰かが、一行を書いていた。
リイシューはブリッジの下に、アースを取るための薄い金属のプレートが貼ってある。
当時の俺は、半分しか分かっていなかった。そしてこの一行を、23年後に読み返すまで忘れていた。
アンプで音が出ない原因は、その一行そのものだった
店から見積もりが届いた。書いてあった原因はアースプレートの不良と、ポットのガリの2つ。ポットを洗浄したら音は出るようになった、とあった。そして板のほうが割れていた。この板は、弦から電気の逃げ道を作っている部品だ。ここが切れるとノイズが出たり、音が出なくなったりする。店の診断は、これだった。
23年前に掲示板で教わった一行。そこが壊れていた。
割れて、6弦だけがかろうじて繋がっていたという。接着も半田付けも試してくれたが、板が反っていて付かず、交換になった。

アコギ修理33,000円の内訳
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| トラスロッド・サドル調整・ポット洗浄(ネックの反り、弦の高さ、音量つまみの掃除) | 0円(サービス) |
| アースプレート交換 | 6,600円 |
| ナット交換 | 8,250円 |
| フレット擦り合わせ | 7,700円 |
| 弦交換 | 1,100円 |
| クリーニング | 5,632円 |
| 返送料 | 3,718円 |
| 合計 | 33,000円 |
ナットは、ネックの先端で6本の弦を受けている指幅ほどの白い部品だ。弦を張るたび指が触れる場所である。これがあとで効いてくる。
やらずに済んだものも書く。フレットの打ち替え(リフレット)は、大手楽器店の公開料金表で68,200円から。ネックの矯正は16,500円から。どちらも要らなかった。24年弾いて、擦り合わせの7,700円で足りた。
同じ料金表で見ると、ナット交換は12,100円から、フレットのすり合わせは15,400円からと書いてあった。店によって値段はかなり違う。
日数は、1か月はみておく
今回の修理期間は12日で、最初の見込みは「概ね1か月程度」だった。提携工房の混み具合で変わる。当てにしないほうがいい。
現品を見るまで、どこがどう悪いかは誰にも分からない。だから見積もりまでに日数がかかる。俺の場合は、到着・見積もり・完了と、店から都度連絡が来た。そうでない店なら、電話かメールでこちらから聞くことになる。
封筒と、ケースの中
戻ってきた箱を開けたら、弦の空袋に、外したナットが入っていた。
横から見ると、上半分だけが茶色い。下は白いままだ。溝に隠れていた部分が元の色で、表に出ていた側が24年で染まった。手と汗の色である。


割れた金属板は、すぐには見つからなかった。ケースの中をよく見て、やっと出てきた。真鍮の小さな板で、弦を通す穴が5つしか残っていない。6つ目があったはずの角が割れて欠け、その側に銀色の半田の跡がある。店が付けようとして、付かなかった跡だ。

23年前に読んだ一行の現物が、いま手元にある。
プロは、点数をつけなかった
送り返す前に二つ聞いた。24年の扱いは雑だったか丁寧だったか。それと、本物の1964年(ジョン・レノンが使っていた年式)を100点満点として、この個体は何点か。
答えは「大きな打痕やキズもなかったので雑ではなかったと思います」。点数は、つかなかった。「採点は難しいですが、経年で音はより良い雰囲気になっていると思います」。
そのかわり、聞いてもいないことが書いてあった。届いたときネックがかなり順反り(弦に引かれて反った状態)で、弦高も高めだったこと。言わなくていいことを書く人のほうが、信用できる。
ナット交換8,250円の効き目は、弾いてから分かった
チューニングが狂いにくくなった。
以前は3弦がなかなか合わなかった。それと、弦を張るときに「キュッ」と鳴っていた。あれが無い。
調べてみると、どちらもナットの溝で起きる症状だった。溝に汚れが溜まって弦が引っかかると、ペグを回した分が均等に伝わらない。だから合わない。
外したナットの、あの茶色い部分。24年ぶんの手と汗は、溝の中も同じだったのだろう。
8,250円は、そこに払った金だった。
9年ぶりに、音は出た
アンプにつないだ。鳴った。9年ぶりである。
I Feel Fineの頭のフィードバックも試した。ジョン・レノンがJ-160Eをアンプに立てかけていて出た音だとされている。いずれにせよ、アンプが生きていないと出せない音だ。
思うような音は、まだ出ていない。23年前も、あの音は出ないと書いていた。今も出ない。
考えてみればアンプも23年前のものだ。シールド(ギターとアンプをつなぐケーブル)も古い。ギターは直った。今度はまわりの番かもしれない。
俺は買った店に送った。ただ、それは縁があったからだ
24年前に買った店だったから、電話して押し込んだ。普通、そんな縁はない。
新しく買うにしても、直すにしても、まずは楽器を扱っている店に相談することになる。(選び方はアコースティックギターの選び方|20台触ってきた俺の基準にまとめてある)イシバシ楽器のように新品も中古も置いている店なら、修理も相談すれば受けてくれる。修理の案内には「遠方やご都合が合わない場合は、宅配便で修理品をご発送くださいませ」と書いてあった。現物を見てから見積もりを出すという流れは、俺のときと同じだ。
俺がいちばん不安だったのは、いくらかかるか見当がつかないことだった。先に見積もりが出るなら、金額を見てから断れる。それが分かっていれば、9年も放っておかなかったかもしれない。
直さない、という道もある
うちにはもう一本、ネックが根元から折れたベースがある。あれは直さない。修理代が楽器の値段を超えるからだ。
手放すか、置いておくかである。このJ-160Eを売ったらいくらになるかは以前に調べて記事にした。買取に出せば値がつくものもあるが、元が安い普及品や大きく壊れたものは、値がつかないこともある。査定してもらわないと分からない。修理代と、売った値段。両方を見てから決めればいい。
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捨てたい人は捨てればいい。自分で決めることである。
このギターの24年は、ここにまとめてある。
→ ギブソンJ-160E|24年持って9年鳴らなかった1本の全記録

