WBCは誰のものなのか― 有料化が広げるスポーツとの距離

違和感

この春に行われるWBCが楽しみである。
世界のトップ選手が集まり、国を背負って戦う。あの独特の空気は、やはり特別なものがある。

しかし最近、ひとつ気になる話を聞いた。
有料のサブスク契約をしないと見られないかもしれない、という噂である。

正直、戸惑った。
これまで私は、スポーツを「お金を払って見るもの」として考えたことがなかった。
気がつけばテレビをつけ、同じ試合を同じ時間に見ている――それが当たり前だったからである。

以前は、試合の日になると自然とテレビの前に座っていた。
家の中の空気が少しだけ特別になり、同じ時間を共有しているような感覚があった。
スポーツは「みんなで見るもの」だと思っていた。

NHKの受信料も払っている。
だからどこかに、「大きな国際試合は自然と見られるもの」という感覚が残っている。
もし契約が必要だとしたら、しかも古いテレビで見られなかったらどうなるのだろう。そんな現実的な不安もよぎった。

少し調べてみると、その背景には「放映権の高騰」という事情があるらしい。
国際大会の放映権は年々高くなり、大きなビジネスになっているという。
放映権の収入は大会の運営だけでなく、選手の年俸やリーグ全体の資金にもつながっていく。

メジャーリーグ(MLB)の選手年俸は、日本とは比べものにならない規模だと言われている。
スポーツは夢や感動を与える世界であると同時に、大きなお金が動く産業にもなっているのだと、あらためて知った。

もうひとつ、ふと頭をよぎったことがある。
スポーツは、同じ試合を同じ時間に、同じ空間で見るという楽しさもあったはずだ。
いわゆるパブリックビューのような、あの一体感である。
もし有料化が進めば、そうした共有の場は減っていくのだろうか。
それとも、私の感覚が少しずれているだけなのだろうか。

見ること自体に、少し距離ができてしまったような気もしている。

野球ファンを増やしたいのなら、見るハードルは低い方がいいのではないか――そんな思いもある。
それとも、これも時代の流れなのだろうか。
スポーツは、いったい誰のものなのだろう。

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