俺は元野球少年だ。
60代になった今もMLB中継をよく観ている。
二刀流のS.O.のことを、1年前も2年前も応援してきた。
今も応援はしたい。
ただ、最近気になることがある。
彼が、よく唾を吐くようになった。
テレビに映るたび、グラウンドにペッとやる。
その仕草が、残念でならない。
それ以上でもそれ以下でもない。
どんな時に吐いているか
よく観ていると、唾を吐く瞬間にはパターンがある。
ピッチャーをやっていて、ホームランを打たれた時。
打席で空振りした時。
何か悔しい場面で、ペッとやる。
俺も野球をやっていた時期がある。
悔しい気持ちはわかる。
ただ、その表現が「唾」なのか、と思ってしまう。
日本の野球を覚えた人間として
俺は中学・高校と野球をやっていた。
土を整える。礼をする。グラウンドはきれいに保つ。
それが当たり前だった。
唾なんか吐くわけがない。
あそこは神聖な場所だ。
そう体に染み込んでいる。
40年経った今でも、その感覚は残っている。
テレビで唾を吐くシーンが映ると、つい引っかかってしまう。
「日本人選手が、これでいいのか」
そう思ってしまう自分がいる。
あの選手は「神」じゃない
世間は彼を神扱いする。
打って、投げて、結果を出す。それは確かにすごい。
でも、神格化されすぎていないか。
彼も一人の人間で、一人の野球選手だ。
アメリカで長く生活すれば、文化に染まる部分はあるだろう。
それは仕方ない。
ただ、唾を吐く姿が増えたことだけは、
60代の俺としては残念だ。
日本で野球を覚えた頃の礼をする姿。
グラウンドを大事にする姿。
あの感覚を、忘れないでほしい。
もしかして、わざとなのか
ふと思うことがある。
「日本人だから真面目で礼儀正しい」
「グラウンドで唾なんか吐かない、いい子ちゃん」
そういうイメージを背負わされるのが嫌で、
わざと唾を吐いてアピールしているのかもしれない。
「俺はいい子ちゃんじゃない」
「アメリカの選手と同じだ」
そう示したい気持ちがあるのか。
本人にしかわからない。
ただ、そうだとしたら、それも残念だ。
わざわざアピールしなくても、彼は十分すごい。
真面目でもいい。いい子ちゃんでもいい。
それで結果を出してきたんだから。
気持ちは、分からんでもない
ただ、染まるのは仕方ない部分もある。
あちらでは唾を吐くのは「普通」だ。
「当たり前」で、むしろ「やらない方が変」。
そういう環境に身を置いて、染まらない方が難しい。
俺だって、アメリカに数年住めば染まるかもしれない。
それは認める。
ただ、日本に戻れば数ヶ月で元に戻るだろう。
クセは残っても、環境が変わればすぐ消える。
そういうものだ。
後輩たちには、してほしくない
ドジャースのあいつ、カブスのあいつ。
すでに染まってしまった日本人選手たち。
それは仕方ない、と思うことにする。
ただ、これからメジャーに渡る日本人選手——
ブルージェイズや、ホワイトソックスに行ったあの2人には、
してほしくない。
日本で野球を覚えてきた感覚を、
向こうに渡っても忘れないでほしい。
グラウンドを大事にする、礼をする、唾を吐かない——
そういう「日本の野球」を、
あちらでも貫いてほしい。
俺の勝手な願いだ。
ただ、応援するからこそ、そう願う。
先輩日本人メジャーの時代は、観たくても観られなかった
日本人選手が初めてメジャーに渡った頃は、
そもそもMLBのライブ中継なんて、ほとんどなかった。
あったとしても、こっちは仕事の真っ最中。
観られる時間なんて、なかった。
ニュースで結果を知る。録画で名場面を観る。
それくらいだった。
だから、先輩の日本人選手たちがグラウンドでどう振る舞っていたか、
俺は細かくは知らない。
ただ、唾を吐く姿の記憶はない。
定年してからMLBをじっくり観るようになった。
S.O.の試合は、ほとんどリアルタイムで観ている。
だから、変化が目につくのかもしれない。
テレビで見ているだけの俺が、なぜそう思うのか
会ったこともない。話したこともない。
ただテレビで観ているだけの60代が、何を偉そうに、と言われるかもしれない。
ただ、観ている時間は長い。
1年、2年、3年と応援してきた。
だからこそ、小さな変化が見える。
応援する気持ちは、今もある。
ただ、その仕草だけは、残念に思う。
それ以上でもそれ以下でもない。
神扱いより、一人の選手として観たい
彼を「神」として観るつもりはない。
一人の野球選手として、これからも観ていく。
強さも弱さも、変化も含めて。
唾を吐く姿が増えたことは、小さなことかもしれない。
でも、小さな仕草に、その人の今が出る。
応援してきた60代として、ただ、残念だ。
それだけのこと。


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