アコギの弦交換|22年の台帳でわかった「替え時」と、俺が1本に決めた理由

ギブソンJ-160Eと弦交換の道具。下に弦交換の日付を並べた台帳 違和感

アコギの弦は、いつ替えればいいのか。

ネットを見ると「3ヶ月に1回」「切れたら」「音がくすんだら」と書いてある。どれも正しいのだろう。
ただ、俺は22年分の記録を持っている。いつ、どの弦に替えたか。エクセルに全部残してある。

先に結論を言う。
いろいろ試した末に、マーチンの80/20ブロンズ1本になった。そして替える回数は、年に2〜3回から年1回に減った。

22年分の台帳をつけてきた

つけ始めたのは2002年。ギブソンのJ-160Eを中古で買った年だ。

理由は単純で、何をいつ試したか、すぐ分からなくなるからだ。
弦を替えて「前より良い気がする」と思っても、2ヶ月経つと前が何だったか思い出せない。製造の仕事を40年やってきたから、記録がないと比べられないことは体に入っていた。

だから日付と銘柄だけを、その日のうちに1行書いた。それを22年続けた。

替え時|俺の実測ペース

台帳の日付を並べると、はっきり3つの時期に分かれた。

  • 2006〜2012年=年に2〜3回。いろんな弦を試していた時期
  • 2012〜2017年=ゼロ。5年近く、一度も替えていない
  • 2017年〜今=1〜2年に1回。銘柄は動かない

教科書どおりなら「3ヶ月に1回」だ。俺はその4分の1も替えていない。
正直に言えば、ここ2年は一度も替えていない。最後に替えたのは2024年11月だ。

それで困っていないのは、俺が新品の弦と古い弦を聴き分けられるような耳をしていないからだ。素人だ。毎日ステージに上がるわけでもない。
だから「何ヶ月で替えるか」は、他人の数字を借りても意味がない。記録をつければ、自分のペースが出てくる。

試した弦|ギター2本で9種類

台帳に残っているのは、張って使い続けた弦だけだ。張って、鳴らして、違う、すぐ外す——そういう試し方をした弦は日付に残っていない。だから実際はもう少し多い。

J-160E(1997年製)に張った弦

  • ギブソン 900=ピュアニッケル巻きのエレキ弦(今は製造終了)
  • マーチン 80/20ブロンズ=銅8・亜鉛2の合金。張りたてが一番明るい
  • エバリー 7312=銅の割合を上げた独自素材。音量で押す
  • GHS LJ30=フォスファーブロンズの強化版(今は製造終了)

J-200(1975年製)に張った弦

  • ダダリオ EJ16=フォスファーブロンズ。温かみとバランス
  • ギブソン SAG-J200L=フォスファーブロンズ。立ち上がりが速い
  • GHS(ドイル・ダイクスの型)
  • ジョン・レノン シグネチャー=ギブソンが出していた名前入りの弦。今は手に入らない
  • ジョン・ピアース=明るさと温かみの中間

台帳にはもう一つ、何度も出てくる弦がある。ある楽器店が、自分の店の名前で出している弦だ。店の名前は伏せる。
作っているのはマーチンで、純正より少し安い。いわゆるOEM——中身は同じ会社が作り、名前だけ店のものになっている。J-160EにもJ-200にも、この弦を何度か張っている。J-200にいま張ってあるのも、これだ。

ここで一つ、覚えておくといい違いがある。
80/20ブロンズは、張った直後が一番キラキラして、そこから早く落ち着く。フォスファーブロンズは、最初から温かみがあって、明るさが長持ちする。フォスファーは銅とスズにリンを少し足したもので、錆びにくい。

なぜ80/20に決めたか|死んだ弦が箱で生きる

いろいろ張って、最後にマーチンの80/20に戻った。理由は、たぶん人に笑われる。

新品のときより、少し使い込んでギラつきが落ちた頃が好きだ。
悪い言い方をすれば、弦が死にかけている状態。その頃になると、弦の音より箱の音が前に出てくる気がする。J-160Eは合板のトップにはしご型の骨組みという、独特の造りをしている。その箱が鳴る感じが、俺の耳には一番近く聞こえた。

だから替える回数が減ったのは、面倒だからではない。いい時期を長く使いたいからだ。

断っておくが、これは俺の感じ方でしかない。張りたてのキラキラした音が好きな人もいる。音の感じ方は人それぞれで、正解はない。好みの音がどこにあるかを、自分で見つけるしかない。

値段|1,485円が1,650円になった

台帳には値段も残っている。

  • 2023年10月=1,485円
  • 2024年11月=1,650円

1年で165円、1割ちょっと上がった。
それでも年に1回なら、1年で1,650円だ。ギターを弾く道具としては安い方だと思う。

太さは、指の都合で変えた

銘柄だけでなく、太さも途中で変えている。長いあいだライトを張っていたが、指が痛くなってきて、細いほうに移した。今はカスタムライトのはずだ。

「はず」と書いたのは、台帳に銘柄は残したが、太さを書いていなかったからだ。22年つけていても、抜けるところは抜ける。

細いほうが押さえるのは楽だ。音はいくらか細くなる。ただ、音より先に俺の指が音を上げた。60代になると、そういう順番になる。

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感想(5件)

5年、弦を替えなかった時期がある

台帳を見返して、自分でも黙ってしまったところがある。

2012年3月から2017年1月まで、日付が1つもない。

家族の介護をしていた期間と、そっくり重なっている。
弾く気力も、いじる気力もなかった。ギターは一時期、仕舞い込んでいた。

2017年1月30日。台帳の空白のあとに、また日付が入っている。
記録というのは、何を弾いたかだけでなく、何をしていなかったかも残す。

まとめ|替え時は、他人の数字で決めなくていい

  • 替え時は弾いた回数と、自分の耳で決まる。「3ヶ月に1回」は、毎日弾く人の数字だ
  • 張りたてが好きか、こなれた頃が好きかで、替える間隔は変わっていい
  • 迷うなら日付と銘柄だけメモする。半年で自分のペースが見えてくる

22年分の日付を並べて分かったのは、正解が1つではないということだった。
ただ、自分の答えは、自分の記録の中にしかない。