オフ会が二回あった。一回目はガスト、二回目はマクドナルド。
ガストではドリンクバー439円。四杯飲んだ。
マクドナルドではコーヒーMサイズ190円。
二時間粘って190円。ありえない。190円、ごちそうさま。でも素直に喜べない。
安い。安すぎる。こんな値段で店が回るのか。
同じコーヒーがアメリカでは490円
気になったので調べてみた。
同じマクドナルドのコーヒー、アメリカではMサイズ$2.99。1ドル164円で換算すると約490円。
190円と490円。同じ店。同じコーヒーだ。二倍以上違う。
スターバックスも調べた。
マクドナルドS:日本150円/アメリカ約390円
マクドナルドM:日本190円/アメリカ約490円
スターバックスTall:日本420円/アメリカ約435円
スターバックスGrande:日本465円/アメリカ約485円
スターバックスは日本もアメリカもほぼ同じ値段。マクドナルドだけ日本が極端に安い。
違うのはコーヒーじゃなかった
豆は同じ系統。マシンも同じ業務用。マニュアルもグローバル共通。
じゃあ何が違うのか。
アメリカのマクドナルドの時給は$15〜20。日本円で2,460〜3,280円。日本は1,000〜1,200円。
コーヒーが二倍以上違うのは、コーヒーの問題じゃなかった。働いてる人の給料が違うだけだった。
190円で出せるのは、190円で回せる給料の国だからだ。
三十年前は、日本とアメリカでそこまで差がなかったらしい。世界は上がった。日本は止まった。
コーヒーの値段が変わってないんじゃない。この国の値段が変わってないんだ。
身近な物価は、上がっている
ふだんの生活で実感する物価は、確かに上がっている。
ビールは、少しだけ上がった。気にして買うほどではないが、レジで「あれ、こんなに高かったか」と思うことが増えた。
米は、目に見えて高い。何年か前と比べて、たぶん二倍くらいになっている。袋の値札を見て、二度見した。
物価は、上がっている。それは間違いない。
ただ、給料は上がっていない。止まったまま、世間の物価だけが上がっていく。
それでも、マクドナルドのコーヒーは190円のままだ。
物価が上がる中で、価格を据え置きにする店がある。それを支えているのは、たぶん、そこで働く人の給料だ。
変な指標があった、現場の話
俺は製造業の現場で四十年やってきた。
俺が現場に入った頃から、能率は「原価÷時間」で測る決まりだった。時間あたりにどれだけの原価を稼いだかで、現場が評価される。
ただ、そもそも原価が計上されていない工程があった。値踏みされていない仕事を、こっちは時間をかけてやっている。原価が「ゼロ」だから、どれだけ働いても、その指標は上がらない。
もちろん、全部がそうじゃなかった。原価がしっかり計上されている、いわゆる「旨みのある」工程もあった。トントンの工程もあった。下もあれば、上もあった。
ただ、俺が長く担当したのは、原価が薄い工程のほうだった。だから「あり得ない」と思うことが、何度もあった。
それでも、誰も改善しなかった。改善する余裕も、改善を聞く耳もなかった。
「能率を上げろ、二人分を一人でやれ」――それが、俺の担当した現場だった。
190円、ごちそうさま
二時間粘って190円。ありがたいはずだ。でも素直に喜べなかった。
この190円の裏で、誰かが時給1,000円で立っている。
俺も製造業で40年、似たようなことをやっていた。能率を上げろと言われて、二人分の仕事を一人でやった。あれも結局、同じ話だったんだろう。
オフ会でたまたま飲んだ190円のコーヒー。会計のとき「安いな」と思っただけだった。それが調べてみたら、こういう話につながった。
190円、ごちそうさま。でも正直、500円でも1000円でも文句は言わない。
関連記事
ところで、その190円のコーヒーを、俺はうまいと思っていたのか。そこから考えた話。



コメント